出力側にアンプを付加した簡易型オーディオセレクターの自作

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近年、IC、CD、MD、MP3等のデジタルオーディオプレイヤー、PCやFMチューナー、TV、スマートフォン等々オーディオ機器の多種多様化に伴い、同じオーディオシステムで音楽を楽しもうとすると、オーディオ機器を変える度に差し替えが必要になり面倒である。そこで、複数のオーディオ機器を接続した状態で、スイッチ1つでオーディオ機器を切り替えられる「簡易型オーディオセレクター」を自作する。

今回自作するオーディオセレクターは、5つのオーディオ機器を接続可能にして、同じオーディオシステムで音楽が聴ける入力5系統で、出力1系統とする。また、オーディオ機器各々の出力は一定ではないので、オーディオ機器の出力側に簡単なオーディオアンプを自作してオーディオセレクターの出力ゲイン調整ができるようにする。なお、出力ゲインはスピーカー左右同時ゲイン調整ボリュームと、スピーカー左右独立ゲイン調整ボリュームを用意する。

1. 簡易型セレクターの配線図

下図は簡易型セレクターの簡略配線図で、電源回路とオーディオ信号入出力回路の簡単なものである。なお、オーディオアンプはスタンダードな「LM386」に任せる。

アンプの電源電圧は DC+12Vを供給し、POWER SWを取り付けてアンプの ON/OFFができるようにする。なお、電源の ON/OFFが見えるように LEDを付加する。POWER SWを通った DC+12Vは、「LM386」の6番ピンに接続する。また、この同電圧を外部にも出力できるように出力 DC端子を設ける。

外部機器からのオーディオ信号の入力は、Right側と Left側に独立させた RIGHT INPUTおよび LEFT INPUTに接続する。その信号を L VR3および R VR4、それぞれの10KΩのボリュームでゲインコントロールして、「LM386」の3番ピン(下記2.LM386の回路図を参照)で受け取る。受け取った信号を「LM386」で増幅し、それぞれの R OUTおよび L OUTに出力する。

オーディオ機器の切替えは、R/Lそれぞれ2回路5接点のロータリースイッチ (ROTARY SW×2×5)に任せる。

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2. LM386の回路図およびパーツ取り付け図

下の左図は電圧利得200倍の設定回路、右図は電圧利得20倍で今回の設定回路である。基本的に回路変更はないが、アンプ出力側の電解コンデンサーの容量を250μF以下にすると低域幅が狭まるため、低域幅を広げたい場合は、250μF以上の容量の大きいものにすること。

LM386 ➡ [ LM386データシート.pdf ]

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LM386の部品取付け図である。この画像をコピーしてプリント基板を起こすには、図面を表裏反転する必要がある。

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3. 配線を施したケース内部の画像

ケースは、増幅回路のため金属ケースに納めたいところだが、今回は手持ちのプラスチックケースに納めた。なお、電源回路以外の配線はシールド線を使用する必要がある。

下の画像はケース内部を真上から見たもので、左画像は下が正面、右は反転画像である。

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下の画像は上画像のアングルを変えたものである。

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4. 完成

スイッチ1つでオーディオ機器を切り替えられる「簡易型オーディオセレクター」の完成である。

下の左画像は正面で、右画像は後面であり、ケース前後のパネルは化粧板を作製して取り付けた。

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5. オーディオシステムにセットした感想

自作した出力8系統のオーディオスプリッターの前段に接続し、上部に載せて使用することにした。

実際に通電して音楽を流してみたが、左右独立ゲイン調整用ボリュームに触れると、左右とも同等のハム音らしいノイズが発生したため、ボリュームカバーをそれぞれアースに落として完治した。原因は「楽をしましょう!」と、プラスチックケースを使用したために生じた、マイナス側の電位差だと判断した。

スプリッターの自作は、こちら ➡ [ オーディオスプリッターの自作 ]

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