SDRSharpのダウンロードおよびWindowsへのインストール手順

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SDR(Software Defined RADIO)を日本では、ソフトウェアラジオまたはソフトウェア無線などと呼ばれている。従来の無線機は、アナログ電子回路技術により実現されていたが、最近は通信方式の高度化やデジタル化が進んだため、デジタル信号処理の果たす役割が大きくなってきた。一部のアナログ回路を除いては、すべての処理を汎用デジタル信号処理ハードウエアに置き換える動きが加速している。

マニアが好んで使用しているSDRソフトには、HDSDR、SDRSharp、SDRunoなどがあげられる。このページでは、インストールにあまり手間のかからない、初心者でも比較的簡単にハンドリングできる「SDRSharpのダウンロードおよびWindowsへのインストールと初期受信の設定」を、Windowsの画像を用いながら記すことにする。

------[ 目 次 ]------

1、SDR構成のイメージ

2、SDRSharp 導入の事前準備

3、SDRSharpのダウンロードおよびインストール

4、USBドングルおよびドライバーのインストール

5、SDRSharp 起動および受信設定

6、最後に

その他、SDR関連の記事はこちら ➡ SDR ソフトウェア無線 記事の収集

1、SDR構成のイメージ

SDRSharpは広帯域受信が可能で、Windows 7以降、Linux、MacのOS上で作動する。受信を可能にするには、ドングル (Dongle) と呼ばれる安価なUSB TVチューナーを使用する。チューナーの受信周波数範囲は、おおむね25MHzから1,700MHzまでのため、周波数をコンバートすることでHF帯以下の受信も可能になる。

近年SDR用のレシーバーモジュール、RTL-SDRドングル等が多く発売されるようになった。これらドングルの受信周波数範囲は、おおむね500kHzから1,700MHzと広範囲に及ぶため、サンプリング・レートの変更は必要だが、別途コンバーターを使用することなくHF帯以下の周波数も受信できる。HF帯以下を受信するのであれば、SDR用ドングルを入手したほうが手っ取り早いだろう。なお、受信周波数帯に同調するアンテナの接続は必須である。

【以下の図は、USB TVチューナーを使用したイメージイラスト】

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【以下の図は、RTL-SDRドングルを使用したイメージイラスト】

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2、SDRSharp 導入の事前準備

SDRSharpを導入して受信を可能にするには、以下のWindowsランタイム(以下「WinRT」と記す。)やハードウエアを準備する必要がある。

▶ 準備 1

SDRソフトウェア関連

SDRSharp(SDRソフトウェア本体)

SDRSharpのダウンロードおよびインストールは以下に記す。

Microsoft Visual Studio 2022(Windows 8 以降はプリインストール)

必要な場合はダウンロードしてインストールする。 ➡ Visual Studio 2022

Microsoft .NET Desktop Runtime 8 Windows x86(Windowsにプリインストールされている場合は必要ない)

必要な場合はダウンロードしてインストールする。 ➡ .NET Desktop Runtime 8.0.6 Windows x86

▶ 準備 2

USB ドングルチューナー

SDRに使用されているICは、元来TVチューナー用に開発されたものを使用しているため、チューナーチップにE4000/R820T/R828D/FC0012/FC0013/FC2580等が搭載されており、デコーダーチップにRTL2832U(RTL2838UHIDIRはOEM製品)が搭載されているものを使用する。

ドングルの詳細 ➡ https://osmocom.org/projects/rtl-sdr/wiki/Rtl-sdr

amazonでUSBドングルを確認する場合

① TVチューナー用ドングル(24MHz〜1700MHz) ➡ RTL2832U R820Tチューナー

② SDR用ドングル(500kHzから1.7GHz) ➡ RTL-SDR Blog V3 R820T2 RTL2832U

▶ 準備 3

アンテナ

受信周波数帯用のアンテナが必要である。ロケーションに恵まれていれば、USBドングルに付属されているアンテナでも受信できる場合もあるが、受信周波数範囲は限られるだろう。自作の簡単なループアンテナなどでは、ある程度広範囲な受信は可能である。アマチュア無線家は運用中のアンテナを利用する。広範囲な受信を希望するのであれば、それなりのアンテナは必要である。

▶ 準備 4

コンバーター

前記したように広範囲が受信できるSDR用ドングル、およびHFコンバーター内蔵のドングルを入手するとコンバーターは必要ないが、TVチューナー用のドングルでHF帯以下を受信するには、HFコンバーターが必要になる。

HFコンバーターキットの確認は、こちら ➡ SC-HFCONV-100

▶ 準備 5

その他

アンテナとUSBドングル間の50Ωまたは75Ωの同軸ケーブル。

PCの外部ノイズが気になる場合は、USBドングルとPC間を離すUSB 延長ケーブル。

HFコンバーターを使用する場合は、コンバーターとUSBドングル間の同軸ケーブルおよびコンバーターの電源ケーブル。

使用する同軸用のコネクターや変換コネクターなど。

3、SDRSharpのダウンロードおよびインストール

AIRSPYのWebサイトから、SDRSharpをダウンロードし、インストールするまでの手順を以下に記す。

SDRSharpの旧リビジョンを使用したい場合は、イタリアのアマチュア無線家「IZ3MEZ」フランチェスコ・ゼラ氏の以下サイトから入手できる。

旧リビジョン ➡ https://www.iz3mez.it/software/SDRSharp/

▶ 手順 1

SDRSharp のダウンロード

以下のSDR Software Downloadまたは画像をクリックしてAIRSPYのサイトへ行く。

サイトの「Software Defined Radio Package(Change log)」の右側、[Download]をクリックしてSDRSharpをダウンロードする。

AIRSPYSDR Software Download

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▶ 手順 2

ファイルの解凍

ダウンロードしたZIPファイル「sdrsharp-x86.zip」を解凍する。デフォルトでは、ZIPファイルと同階層に「sdrsharp-x86」フォルダーが生成される。

▶ 手順 3

SDRSharpのインストール

生成されたフォルダー「sdrsharp-x86」内のバッチファイル[install-rtlsdr.bat]をダブルクリックしてインストールする。インストールが始まると、以下画像のCUI画面が表示される。インストールが終わると「続行するには何かキーを押してください....」と表示されるため任意のキーを押すとCUI画面は消える。

SDRSharpのインストールは、「sdrsharp-x86」内にすべてがインストールされるため、フォルダーごと任意の場所に移動して実行できる。しかし、この時点ではまだ実行できないため次へ進む。

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4、USBドングルおよびドライバーのインストール

SDRSharp単体では作動しないため、USBドングルのインストール、およびドライバーのインストールを以下の手順で行う。

▶ 手順 1

用意したUSBドングルをPCのUSBソケットに接続する。接続すると、OS用ドライバーが自動的にインストールされる場合があるが、そのままインストールする。しかし、ここでインストールされたドライバーはSDRには使用できないため、以下でダウンロードしたZadigを使用してSDR用ドライバーに変更する必要がある。

デバイスマネージャーを確認すると、以下画像のように接続したUSBドングルが「他のデバイス」として、ビックリマーク付きで表示されているのが見て取れる。このデバイスの表示名は、USBドングルによって違ってくるが、後で必要になるため記憶しておくかメモに残しておく必要がある。

OS用ドライバーが自動的にインストールされた場合は、「他のデバイス」以外のツリー内に表示されている場合が多いため、良くリサーチする必要がある。

このページでのデバイス名は「RTL2832UのOEM製品」のため[RTL2838UHIDIR]となっているが問題なく作動する。

TV28Tv2DVB-T/EzTV666/EzTV-668等のドングルは、Bulk-In,Interface(Interface 0)などと表示される場合があるため要確認する。

同名称のドングルでもロットによって、デバイス名の表記が変わる場合があるため、不安な場合は良くリサーチする必要がある。

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▶ 手順 2

SDR用ドライバーをインストールするため、生成された「sdrsharp-x86」フォルダー内のUSBデバイス アクセス支援インストーラー[zadig.exe] をダブルクリックして実行する。

▶ 手順 3

ユーザーアカウント制御のダイアログが表示された場合は[はい]をクリックする。

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▶ 手順 4

インストーラーが立ち上がると、ドライバーインストール用のダイアログが表示されるため、以下の操作をする。

上部メニューバーの[Options] をクリックする。

表示されたメニュー内の[List All Devices]をクリックする。

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▶ 手順 5

「List All Devices」をクリックすると、横長のプルダウンメニュー内に、PC内すべてのデバイスが表示されるため、手順1で記憶したUSB ドングル用のデバイス名を選択する。

以下の画像は前記で接続したUSBドングルで、デバイスマネージャーに[RTL2838UHIDIR]と表示されたデバイスを選択したものである。

間違って他のデバイスを選択してしまうと「選択したデバイスまたはPCが作動不能」になる恐れがあるため「細心の注意を払い選択」する必要がある。

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▶ 手順 6

選択したUSBドングルに、SDR用ドライバーをインストールする。

選択したデバイス名が表示されていることを再確認する。

[Install Driver]をクリックする。再インストールは[ReInstall Driver]表示に代わる。

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▶ 手順 7

以下の画像はSDRドライバーのインストール中で、若干の時間を必要とする。

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▶ 手順 8

インストールが完了するとダイアログが開くため[Close]をクリックしてインストーラーを終了する。

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▶ 手順 9

[デバイスマネージャー]を立ち上げ、USBドングルのデバイスにSDRドライバーが組み込まれていることを確認する。

以下の画像では「ユニバーサル シリアル バス デバイス」内にRTL2838UHIDIRの名称でビックリマークがなくなり、正常にインストールされているのが見て取れる。

すべてが以下画像の場所にインストールされるわけではない。USBドングルによっては違う場所、また違う名称でインストールされる場合があるため、ない場合は他のデバイス内をサーチする必要がある。

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5、SDRSharp 起動および受信設定

SDRSharpの起動や受信設定などは、出始めの頃と比較しても大きな変化はない。しかし、スキンが組み込みされてからアレンジメントされているため、最初は戸惑うこともあるが、当初から扱っている方は設定場所が分かれば大きな問題はないと思う。

ここでは、SDRSharpを初めて起動する場合、および起動した初期受信時に最低限必要な操作手順を以下に記すことにする。

▶ 手順 1

起動する前に、受信周波数に同調するアンテナを、USBドングルのコネクタソケットに接続する。

▶ 手順 2

事前に解凍した「sdrsharp-x86」フォルダー内の実行ファイル[ 43_sdrsharp-60画像 SDRSharp.exe]をダブルクリックしてSDRSharpを起動する。

▶ 手順 3

Windowsのバージョンによっては、起動する前に「WindowsによってPCが保護されました」と、セキュリティ機能によってメッセージが表示される場合があるため、表示された場合は以下の操作を行う。なお、以下画像はWindows 11のメッセージ表示である。

[詳細情報]の文字をクリックする。

表示が変わったら[実行]ボタンをクリックすると起動する。

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▶ 手順 4

以下の画像は、SDRSharpを起動した現在のデフォルト画面であり、赤丸番号はその操作内容を以下の表に端的に示す。また、revision UPするとアレンジメントされるだろう。

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以下の表は、前記画像上の赤丸番号位置アイコン等の操作内容示す。

番 号ア イ コ ン 等内    容
43_sdrsharp-61画像メインの設定メニュー
43_sdrsharp-62画像スタートおよびストップ
43_sdrsharp-63画像新しいスペクトラムの追加
43_sdrsharp-64画像RTL-SDRのコントロール設定
43_sdrsharp-65画像音声ミュートおよびボリューム
43_sdrsharp-66画像受信周波数の調節およびその設定など
Zoom/Contrast/Range/Offsetスペクトラムおよびウォーターフォールをスライドバーで調節

▶ 手順 5

SDRSharpを初めてインストールして起動した場合、PCに接続したUSBドングルのSDRデバイスをセットする必要があるため、その方法を以下に記す。

左上のハンバーガーメニュー[Main Menu]をクリックする。

表示されたメニュー内の[Source]をクリックする。

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▶ 手順 6

USBドングルのSDRデバイスを選択するダイアログメニューが表示されるため、必要なデバイスをセットする。

デフォルトのデバイスは「AIRSPY R2/Mini」がセットされているため[AIRSPY R2/Mini ]のプルダウンメニューをクリックして開く。

表示されたメニュー内の[RTL-SDR USB]をクリックしてセットする。

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▶ 手順 7

選択したデバイスのRTL-SDRコントローラーを表示し、今回はゲイン調整のみ行う。

上部の歯車[Configure Source]のアイコンをクリックする。

USBドングルのデバイスが正確に選択されていなければ、クリックしても反応がないため、確認する必要がある。

コントローラーのメニューが表示されたら、とりあえず[RF Gain]のスライドバーを、右へスライドして50パーセント以上にセットする。

ここまでの設定で、信号を受信できる最低限の設定は完了しているため、スタートボタンをクリックし、ザーザーと信号音が聞こえてくれば良好である。

サウンドデバイスを複数使用している場合、スペクトラムやウォーターフォールは表示されるが、信号音が聞こえて来ない場合[メインメニュー][Audio][Output]とクリックし、使用するサウンドデバイスをセットする必要がある。

UPコンバーターを使用してHF帯以下を受信する場合、目的の受信周波数にコンバート周波数をプラスする必要がある。

SDR用ドングルのRTL-SDR Blog V3 を使用し、HF帯以下を受信する場合、「Sampling Mode」を[Direct sampling (Q branch)]に設定する必要がある。

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▶ 手順 8

ここから信号を正確に受信するには、おおむね以下の方法で設定する。

メインメニュー ➡ Radio ➡ モードを選択する。

メインメニュー ➡ Layout ➡ Zoom Bar ➡ Zoomで帯域幅を調節する。

上部の数字を受信周波数に合わせる。また、UPコンバーター使用している場合、その周波数をプラスする。

受信周波数のチューニングは多くの操作方法が用意されているが、慣れるまでは変更したい数字上をマウスでポイントし、マウスホイールを回転させる。慣れてきたらウォーターフォールやスペクトラム上をマウスで突いてもゼロビートが取れるようになる。

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▶ 手順 9

以下は、WFMモードで80.MHzのTOKYO FMラジオを受信している画像である。

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▶ 手順 10

以下は、LSBモードで7MHz帯のアマチュア無線を受信している画像である。

TVチューナーに100MHzのUPコンバーターを使用しているため、7MHz帯を受信する場合は、100MHzを目的の受信周波数にプラスする必要がある。そのため、107.063.020の周波数表示となる。

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6、最後に

SDRSharpのインストールから簡易的な受信設定まで、基本的なことを記してきた。このページで記した設定内容は極一部であり、他に多くの設定方法や使い方が用意されている。特にリビジョン1800以降はスキン変更が可能になったため、自分好みにカスタマイズして楽しめるのではないだろうか。使用しながらいろいろと試しているとすぐに要領が分かってくる。また、説明の足りないところや詳細を知りたい場合は、英語表記だが以下が参考になると思う。

SDRSharpのセットアップの詳細は ➡ SDRSHARP USERS GUIDE

SDRSharpの使い方は ➡ SDR# SCHEMA DI BASE

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