Windows 10/11 Homeでもリモート接続を可能にする方法

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WindowsのHome版とPro版では機能に違いがあるが、そのうちのひとつがリモートデスクトップ接続である。Windows Homeはデフォルト設定で、リモートデスクトップ接続が許可されていない。しかし、「RDP Wrapper Library」を使用すれば、簡単に接続許可ができてしまう。

RDP Wrapper Libraryは、Windows 10/11 Homeでリモートデスクトップ接続を有効にするためのライブラリである。このライブラリを使用すると、Windows 10/11 Homeでも、Proと同じようにリモートデスクトップ接続を使用して、ホストPCとなりリモートデスクトップ接続を受け入れ、またゲストPCとなりホストPCの画面や操作を遠隔から操作することができる。

RDP Wrapper Libraryは、Windows Homeのリモートデスクトップ機能の制限を解除するために使われる。しかし、Microsoftは公式にサポートしていないため、自己責任で使用する必要がある。

このホームページでは、「RDP Wrapper Library」のインストール方法、使用方法、およびその他の情報を提供し、Windows 10/11 Homeでリモートデスクトップ接続を可能にする方法を記す。

------[ 目 次 ]------

1、RDP Wrapper Library および INIファイルのダウンロード

2、RDP Wrapper Library のインストール

3、RDPConf.exe の実行

4、rdpwrap.ini ファイルの適用

5、リモートデスクトップ接続

【留意事項】

このページは、Windows 11を使用して説明するが、Windowsのバージョンやアップデート状況などにより表示画面および機能また編集手順などが若干異なる場合がある。

1、RDP Wrapper Library および INIファイルのダウンロード

RDP Wrapper Libraryの最終バージョンアップは、2017年12月28日で近年は行われていない。しかし、Windows 11でも十分働いてくれるが、INIファイルを更新する必要がるため、ここで「RDP Wrapper Library」および「最新のINIファイル」を以下の手順でダウンロードする。

▶ 手順 1

最初に、RDP Wrapper Libraryをダウンロードして解凍する。

アメリカのGitHub社サイト ➡ https://github.com/から、「RDPWrap-v1.6.2.zip」を任意の場所にダウンロードする。このページでは、デスクトップにフォルダー「RDP Wrapper Library v1.6.2」を作成してその中に入れた。

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▶ 手順 2

ダウンロードしたRDP Wrapper Libraryを解凍する。

「RDPWrap-v1.6.2.zip」を右クリックし、表示されたコンテキストメニュー内の[すべて展開...]から解凍場所を指定する。このページでは、同フォルダー内に解凍した。

解凍するとファイル名「RDPWrap-v1.6.2」が生成される、

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▶ 手順 3

次に、更新されたRDPラッパー ライブラリの設定ファイル「INIファイル」を入手する。

githubに保存されている 「rdpwrap.ini」ファイルをダウンロードするため、以下のURLをクリックする。

https://raw.githubusercontent.com/affinityv/INI-RDPWRAP/master/rdpwrap.ini

以下のようにINIファイル内容のテキストが表示されるため、そのファイル上の[任意の場所]で右クリックする。

コンテキストメニューが表示されたら[名前を付けて保存]をクリックし、任意の場所に保存する。このページではデスクトップに保存した。

このライブラリの内容を確認すると、毎年アップデートされているようである。以下の画像は2023年のものを使用しているが、ダウンロード方法は同様である。

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▶ 手順 4

保存したファイルの名前を以下のように[ rdpwrap.ini ]と書き換える。または、不要な文字を削除する。このファイルはとりあえずこのままにして、次の項目へ進む。

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2、RDP Wrapper Library のインストール

ダウンロードして解凍した「RDPWrap-v1.6.2」フォルダーを開き、インストール用のバッチファイルを実行する。実行するとバッチファイルのためCUI(コマンドプロンプト)が表示される。

▶ 手順 1

バッチファイルは以下の方法で実行する。

[install.bat]を右クリックする。

表示されたコンテキストメニュー内の[管理者として実行]をクリックする。

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▶ 手順 2

ユーザーアカウント制御のダイアログが表示されるため[はい]をクリックして許可する。

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▶ 手順 3

インストールは実行されて「Successfully installed.(正常にインストールされました。)」と表示され、「続行するには何かキーを押してください...」の文字が表示されたら任意のキーを押す。

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▶ 手順 4

現時点ではこのライブラリは最終版のため必要ないが、気になる方は念のためアップデートする。その方法は以下のとおり。

同フォルダー内の[update.bat]を右クリックする。

表示されたコンテキストメニュー内の[管理者として実行]をクリックする。

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▶ 手順 5

ユーザーアカウント制御のダイアログが表示されるため[はい]をクリックして許可する。

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▶ 手順 6

アップデート実行の内容は「現在の更新日:2018.10.10」、「最終更新日:2018.10.10」、現在の更新日と最終更新日が同等になっているため、「すべてが最新です。」と表示されている。

「続行するには何かキーを押してください...」の文字が表示されるため、任意のキーを押すとCUI画面が消える。

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3、RDPConf.exe の実行

「RDPWrap-v1.6.2」フォルダー内の「RDPConf.exe」を実行すると、RDP接続に関するさまざまな設定を行うことができる。例えば、リモートデスクトップ接続を許可するかどうか、接続を受け入れるPCのユーザーアカウントを指定するかどうかなどの設定が可能となる。

▶ 手順 1

ここではリスナーの状態を確認するため、以下の方法で「RDPConf.exe」を実行する。

[RDPConf.exe]を右クリックする。

表示されたコンテキストメニュー内の[管理者として実行]をクリックする。

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▶ 手順 2

ユーザーアカウント制御のダイアログが表示されるため[はい]をクリックして許可する。

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▶ 手順 3

RDPラッパー構成のダイアログメニューが表示されるため、ここでRDP接続に関するさまざまな設定を行うことができる。また、このメニューのデフォルト設定でリモート接続は可能であるため、設定を変更する場合は各項目の内容を把握してから行う。

そこで、「リスナーの状態を確認」するには、以下画像の赤枠内「Listener state:」を確認する必要がある。

※ リスニングとリスナーについて:リスニングは、リスナーがクライアントからの接続要求を待機するプロセスである。リスナーは、指定されたポート番号で接続要求を待機する。また、クライアントがリスナーに接続要求を送信すると、リスナーは接続要求を受け入れ、データベース・サーバーに転送する。リモート接続で、リスナーとリスニングは、データベース・サーバーとクライアント間の通信を円滑に行うための重要な役割を果たすことになる。

以下の画像では緑文字で[Listener state:Listening [fully supported]](リスナー状態:リスニング [フルサポート])と、リスニングはフルサポートされている。この状態になると、RDP Wrapperを介してリモートデスクトップ接続を開始することができるため、項目5、リモートデスクトップ接続へ進む。

リスナーの状態が赤文字で[Listener state: Not listening [not supported]](リスナー状態: リッスンしていない [サポートされていない])とリスニングはサポートされていないためのエラーである。この状態ではRDP Wrapperを介してリモートデスクトップ接続を開始することができないことになる。

このエラーの原因はいくつか考えられるが、最も一般的な原因はRDP Wrapperのバージョンが、使用しているWindowsのバージョンと互換性がないことが考えられる。

そこで、前項目でダウンロードした、Windowsの最新バージョンと互換性を持たせるように構成された「INIファイル」を、RDP Wrapperに適用するため次の項目4、rdpwrap.ini ファイルの適用へ進む。

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4、rdpwrap.ini ファイルの適用

「rdpwrap.ini」は、Windowsのリモートデスクトップ接続(RDP)の機能をカスタマイズするための設定ファイルで、RDPは、コンピュータ間でネットワークを介してリモートでアクセスするためのプロトコルである。具体的には、RDPの同時接続数を増やすために「rdpwrap.ini」ファイルを編集することがよく行われ、Windows Homeではこのファイルを編集することで複数の同時接続が可能になる。

ここでは、ダウンロードしておいた「rdpwrap.ini」をRDP Wrapperに適用するための手順を記す。

▶ 手順 1

「rdpwrap.ini」を適用するには、Windowsサービスをいったん停止する必要があるため、以下の手順で停止する。

タスクバーの[スタートボタン]を右クリックする。

コンテキストメニューの[ファイル名を指定して実行]のフォーム内に[services.msc]を入力する。

[OK]ボタンをクリックする。

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▶ 手順 2

Windowsサービスが表示されたら以下の手順で実行中の「Remote Desktop Services」停止する。

右ペイン内の名前[Remote Desktop Services]をさがして右クリックする。

表示されたコンテキストメニューの[停止]をクリックする。停止状態になったらサービスは終了しないでこのままにしておく。

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▶ 手順 3

事前にダウンロードしておいた「rdpwrap.ini」ファイルを、RDP Wrapper に適用するため、インストール先きの「C:\Program Files¥RDP Wrapper」内にペーストして既存のINIファイルと置き換える。

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▶ 手順 4

Windowsサービスで停止した「Remote Desktop Services」再起動する。

右ペイン内の名前[Remote Desktop Services]を右クリックする。

表示されたコンテキストメニューの[再起動]をクリックする。

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▶ 手順 5

リスナーの状態を確認するため、再度[RDPConf.exe]を管理者として実行する。以下画像のように、緑文字で[Listener state:Listening [fully supported]](リスナー状態:リスニング [フルサポート])と、リスニングはフルサポートになっているため、RDP Wrapperを介してリモートデスクトップ接続を開始することができるようになる。

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5、リモートデスクトップ接続

「RDP Wrapper Library」 のインストールが完了したら、実際にリモートデスクトップ接続を開始してみる。

▶ 手順 1

クライアントPC側で、Windowsのアプリの検索フォームに[リモート]で検索、またはWindowsツール内の[リモートデスクトップ接続]をクリックする。

リモートデスクトップ接続のダイヤログメニューが表示されたら、「コンピューター」のフォーム内に、ホストPCの[IPアドレス]または[PC名]を入力する。

通常はこのままでいいが、オプションの設定が必要な場合は[オプションの表示]をクリックして設定する。

[接続]ボタンをクリックする。

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▶ 手順 2

以下の画像は、リモートデスクトップ接続が完了した画像である。

通常リモートデスクトップ接続は構成が正しくできていれば、いとも簡単に接続できてしまう。もしも、うまく接続できない場合は、以下の手順を試してみる必要がある。

RDP Wrapperが正しくインストールされていることを確認する。

RDP Wrapperが正しく構成されていることを確認する。

RDP Wrapperのバージョンが、使用しているWindowsのバージョンと互換性があることを確認する。

通常では必要ないが、RDP WrapperをインストールしたPCを再起動してみる。

最後に、どうしても接続できない場合は、解凍した「RDPWrap-v1.6.2」フォルダー内のバッチファイル[uninstall.bat]を実行して、インストール先の[RDP Wrapper]フォルダーを削除し、再度インストールを試してみる必要があるだろう。

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