安価なラジオユニットでFM/ワイドFMラジオを自作する方法
100均のDAISOで、300円で購入したミニスピーカーをパソコンに接続して音楽を聞いてみたら、「これで300円!」というほど低域から高域までサウンドが広がり、耳に心地よい音がするではないか。私たち人間の耳に聞こえる可聴周波数帯域は、おおむね20Hz~20KHzとされているが、このミニスピーカーの説明書の周波数帯域は、35Hz~20KHzのため、人間に聞こえる音のほぼすべてを出力していることになる。タグってみると、このミニスピーカーを使用した自作品が多く ヒットするのは理解できるような気がする。
このページでは、ワイドFMも聴いてみたいが古いFMラジオのため、ワイドFM放送が聴けない。そのような方のために、安価なラジオユニットで従来のFM放送からワイドFM放送まで聴ける簡単なFM/ワイドFMラジオを自作する方法を紹介することにする。
ワイドFM(FM補完放送)とは、AM(中波)放送局の放送区域で、難聴対策や災害対策のためにFM(超短波)の周波数を用いて、補完的にAM番組を放送すること。簡単にいうと、AMラジオが入りにくいところでも、FM放送でAMラジオの番組が聞ける。従来のFM放送用の周波数は、76MHz~90MHz、ワイドFM放送の周波数は、90MHz~95MHzである。
・ ミニスピーカーを使用した自作
➡ bluetooth スピーカーを簡単に安価で楽しく自作する方法
⑴ ラジオユニットの検討
ミニスピーカーはUSB電源の5Vで作動するため、ラジオユニットの電源電圧は、同電圧の5Vで作動するものが望ましい。そこでタグってみた結果、中国製だが以下画像のラジオユニットが多く販売されている「FMラジオレシーバーモジュール」を使用することにした。供給電圧は3Vから5Vになっているため、DAISOのミニスピーカーと同電源で駆動できる。
・ FMラジオレシーバーモジュールのスペックは以下の通りである。
① 出力電力は500mWで、ヘッドホンまたは3Wx2のスピーカーをドライブできる。
② 電流は最大で1Aで、駆動電圧はDC+3.0V~DC+5.0Vである。
③ 周波数応答範囲は、50Hz〜18KHzである。
④ 受信周波数範囲は、SW ONで76.0MHz~108.0MHz、SW OFFで87.0MHz~108.0MHzとなる。
⑤ 等価ノイズレベルは、30dBである。
⑥ 出力チャンネルは、ステレオである。
・ amazonで、送料税込み1,660円で購入できるため安価で制作できる。
確認する場合はこちら ➡ FMラジオレシーバーモジュール
⑵ スピーカーはDAISOの税込み330円で購入、「3Wミニスピーカー」を使用する。
確認する場合はこちら ➡ ミニスピーカー
⑶ ケースなどは以下のものを使用する。
❶ ケース本体は、奥さんが使用するためにDAISOで税込み110円で購入した「収納ケース」を横取りして使用する。見つかって怒られるのを覚悟する。
また、制作するFM / ワイドFMラジオのフロントパネルに、収納ケースの底面を利用することになる。
❷ 収納ケースは蓋がないため、後面はその辺に転がっている板切れを使ってリヤパネルにする。
❸ ANTおよび電源の配線は、リヤパネルの木材に直接穴をあけて通した方が簡単だが、アルミ板の切れ端が見つかったため、このアルミ板にソケットを付けることにした、
確認する場合はこちら ➡ 収納ケース
⑴ 以下に実体配線図とその説明を記す。配線の接続に自信がない場合は、この実態配線図を参考に接続してみて、間違いなければケースに組み込むとうまくいくだろう。
❶ 5Vの電源が供給されるDC端子で、リヤパネルに取り付けて+側をフロントパネルのトグルスイッチの一次側端子に接続する。また、ノイズ対策に0.01μF程度のコンデンサーをパラレル接続する。
❷ 電源ON/OFF用のトグルスイッチをフロントパネルに取り付ける。
❸ DC電源の端子で、下側が-で上側が+である。+の端子をトグルスイッチの二次側に接続する。
❹ ミニスピーカーに内蔵されているANPへ供給されるUSB電源ケーブルで、切断して+側をトグルスイッチの二次側に接続する。
➎ ANT入力用のオーディオミニジャックでリヤパネルに取り付ける。また、ノイズ対策に0.01μF程度のコンデンサーをシリーズ接続する。
❻ ANT入力用の基盤ランドで、リード線を直接はんだ付けし、リヤパネルのオーディオミニジャックの+端子に接続する。
❼ Audio out端子で、実態配線上の極性は黒色の配線がGND、赤色の配線がR、黄色の配線がLである。しかし、実際のミニスピーカー配線色とは違うため注意する。この端子をミニスピーカーのオーディオの入力に接続する。
❽ ミニスピーカー入力用のステレオミニプラグの配線を切断し、ラジオユニットのAudio out端子に接続する。
⑵ 以下は必要と思われるパーツ類であるが、手持ちにない場合は購入するしかない。私の場合はその辺に転がっているものを利用した。
❶ USBのDC5V電源をDCプラグに変換するケーブルであるが、パーツがあれば自作する。または、ソケットを利用しないで、スピーカー付属のケーブルをそのまま利用する。
❷ ANTの入力にオーディオミニジャックを付けた。
❸ ANTの入力用のケーブルに使用するオーディオミニプラグである。
❹ スピーカー付属の電源ケーブルをそのまま利用する場合は必要ないが、電源供給用のDCソケットを付ける。
➎ 電源ケーブルを自作する場合に必要なDCプラグである。
❻ 電源ケーブルを自作する場合に必要なUSB Type-Aプラグである。
⑶ 常にパーツを扱っている方は必要ないが、以下に自作する場合に分かりづらい極性などを記しておくことにする。
❶ ミニスピーカーに内蔵されている電源用のUSB2.0 Type-Aを切断して使用するため、使用するUSB端子は❶DC+5Vおよび❹GND-である。
❷ 同様に、ミニスピーカーに内蔵されている入力用のオーディオケーブルを切断して使用するため、ステレオミニプラグの極性である。
❸ ミニスピーカーのフロントカバーをそのまま利用するため、以下画像のようにステー部分を切断する。指で押すだけで簡単に根元から折れる。
ケースとして使用するため、奥さんから横取りした収納ケースや、リヤパネルに使用するための板切れ加工を記す。また、加工が難しい方は、硬くて丈夫な栄養ドリンクなどの紙箱を利用しても楽しいだろう。
⑴ 以下は収納ケースで、全体の大きさは「H85mm/W255mm/D87mm」である。収納ケースの底面をフロントパネルに利用するため、底面に以下の穴あけ加工を施す。
スピーカーの取り付けは、ミニスピーカーのフロントパネルを外し、外したパネルとスピーカーでボックスを挟み込んで取り付ける。ミニスピーカーパネルを外したSP止めビスは、2mm×8mmだが入手できれば少し長い2mm×10mmにする。うまくできない場合は、ミニスピーカーのパネルは諦めて、スピーカーだけを取り付けてもいいだろう。
中央に配置する ラジオユニットの窓は、気を遣うところである。
また、リヤパネルを固定するタッピングビス穴も開けておく。
以下は実際に、収納ケースの底面に穴あけ加工を施した画像である。また、収納ケースの素材はプラスチックのため加工は容易に行える。
⑵ 以下はリヤパネルの加工図である。
❶ リヤパネルに使用する板切れを、収納ケースの内側に取り付けるため、「W252mm/H82mm」に切り出す。必要な位置に各ソケット配線用の「Φ40mm」程度の穴あけ加工する。板の厚さは5mm程度あったほうが固定しやすい。
❷ ミニスピーカーのUSB電源ケーブルを切断しないで、そのまま使用する場合は必要ないが、私はアルミ板の切れ端を以下のように加工した。電源用DCソケットおよびANT入力用オーディオミニジャックの穴を開け、それぞれのパーツを取り付けてから、リヤパネルの外側にタッピングビスで留める。
以下は実際に、リヤパネルに使用する板切れおよび、アルミ板の切れ端に穴あけ加工を施した画像である。また、板に開ける穴はホールソーで円形にしたが、工具がない場合は四角にする。
⑶ 以下の画像は、加工した収納ケースおよびリヤパネルにパーツを組み込み、リヤパネルを取り付けるだけの画像である。
以下は完成した画像で、左は正面、右は後面である。この画像では確認できないが、底面に滑り止めのため、手持ちしていた小さなゴム足を4角に貼り付けた。
以下は真正面画像で、ディスプレイの「84.7」の表示は、FMヨコハマ放送の84.7MHzを受信している表示である。画像はデスクトップPCからUSBの電源を取り、部屋の天井に設置したFM放送用の4エレメントの八木アンテナを接続している。しかし、このようなアンテナを使用しなくても、このページで使用したラジオユニットは高感度のため、ロケーションさえよければ1/4λ(約20㎝)程度のリード線でも十分に受信できる。
以下画像に見て取れるように、ラジオユニットには2つのスイッチが付いており、基本的には左側が選局、右側がVRになっている。また、両方ともプッシュ(押す)スイッチにも対応しており、瞬間押しと長押しができる。左側が選局スイッチを長押しるとスケルチ回路が作動するため、放送局をサーチするには欠かせないスイッチだろう。他にも多くの操作もできるため、いろいろと試して楽しんでいただきたい。
最後に、FM / ワイドFMラジオの制作費用は、ラジオモジュール[1,660円]、ミニスピーカー[330円]、収納ケース[110円]他のパーツはその辺に転がっているものを使用したため、合計金額は税込み[2,100円]であった。この金額は考える楽しみ、作る楽しみ、聞く楽しさでリセットされるだろう。