IC-706の7MHz帯送信周波数を7.200MHzまで拡張改造する方法
物置の整理をしていると、昔々モービルに取り付けて使用していた「ICOM IC-706」が転がっているのを見つけてしまった。IC-706は、7MHz帯周波数拡張前の機種のため送受信可能範囲が「7.000~7.100MHz」になっており、拡張周波数「7.100~7.200MHz」は送受信ができない。
受信周波数においては購入してまもなく、受信拡張改造を施したため問題は無いが、送信周波数に対しては手を加えていなかった。そこで今回、IC-706の7MHz帯送信周波数を7.200MHzまで拡張改造を行い問題なく成功したため、その改造方法を記すことにする。
ICOMの公式ホームページから「アマチュア無線機器サポート」に入ると「拡張された7MHz帯で運用するのに改造が必要な機種について」のページに「周波数拡張情報」があり、IC-706の改造資料が掲載されている。このページに、「D58ダイオード(DAN222TL)をハンダ付けする。」と図面付きで示されている。
以前はICOMで(単価¥100+税/1個)、発送手数料で代引きによる注文を webで受け付けていたが、現在は削除されている。入手したい方はICOMに問い合わせて見てはいかがだろうか。問い合わせ先はこちら。
⑴ 下の図がチップダイオード「DAN222TL」である。幅が1.6mm、ハンダ付けする足は約0.3mm程度で、普通のハンダごてでは無理そうである。
⑵ 回路図および基板図面が入手できたため、「D58」のランド場所を確認する。
下は、メイン回路図と拡大図である。
⑶ 下はメイン基板図と拡大図で、チップダイオード「DAN222TL」を取り付けるランドが確認できる。
チップダイオード「DAN222TL」の入手は、ICOMの代引きを利用しなくてもネットをググると多く出回っている。私は、10個300円送料164円で入手できた。
下の画像は、DAN222TLとシャーペン0.5mmの芯と見比べたもので、非常に小さいものであることが見て取れる。
※ 参考、DAN222データシートは、こちら.pdf
上記画像で見て取れるようにチップダイオードの足は0.3mm程度で、市販の先細のハンダごてを使用してもランドに乗せるのは難しく、下の画像のように同軸ケーブル10D2Vの心線を加工して利用する。形状は好みだが、画像のように先細タイプは初心者でも扱い易い。下の画像は他にも使用するために何本も作製したが、ここでのみ使用する場合は1本で十分である。
IC-706は全面パネルが外れるため、傷つかないように外してから作業に入る。
⑴ 上カバーを開けるとメイン基板が見えるために即改造作業にかかれる。上カバーは下の画像のように上部に3本と左右に1本ずつ5本のビスで止まっているためドライバーで外す。上カバーの外し方は、カバーの後部を2・3センチ持ち上げ、そのまま後ろへ引くと外れる。
⑵ 下の画像は、上カバーを外しただけのものである。メイン基板はスピーカーの下にセットされている。
⑶ 下は、スピーカーとスピーカーのステーを外した画像である。スピーカーはステーに乗せてあり、ステーもケース本体に単に乗せてあるだけなので、持ち上げれば簡単に外せる。
手始めに改造個所を確認してから改造作業を開始する。
⑴ 上記メイン基板図でも確認できるが、メイン基板のやや中央にD108のダイオードを目標に探すと早く見つかる。下画像の拡大楕円に3カ所のランドが見て取れるが、ここに「DAN222TL」をセットしてハンダ付けする。
⑵ 基板のランドにチップ部品をセットするには、爪楊枝を左右の手に1本ずつ持ち2本でセットする。千枚通し等の金具を使用すると微弱な静電気でもチップ部品が金具にくっついてしまい作業にならない。セットしたらラジオペンチ等に爪楊枝を挟み、ビニールテープや輪ゴムで固定して、チップの上にレコード針を置くように静かに乗せて重りの代わりにする。「レコード針を置いたこことないよ!」「そうか・・・静かにゆっくり置くこと」「は~い!」
⑶ 爪楊枝は垂直に押さえるよりも多少斜めの方がこて先を持って行き易い。下は拡大した画像である。
⑷ DAN222TLのカソード側のランドがD108の足の真下にあるため、こて先を上手く持って行けない。そこで下記の画像のようにD108の足をカットすると作業が簡単にできる。ただし、後でハンダ付けして接続できるようにカットする必要がある。
⑸ 下は、DAN222TL(D58)ダイオードのハンダ付けが終わり、邪魔になったD108の足をもと通りに戻し、ハンダ付けしたものである。D108の下にDAN222TLのダイオードが3個並んでいるのが見て取れる。
IC-706のスピーカーや上カバーをもと通りに戻し、ダミーロードを接続して電源を入れ、7MHz帯の拡張周波数内の7.150MHzで送信確認をしている画像である。画像から見て取れるように、送信確認用のLED(TX)が赤く発光しているのが確認できる。また、7MHz帯拡張周波数範囲を確認してみたが良好であった。
今回のような拡張周波数改造を改造もしくは改修した場合は、技術基準適合証明が無効になるため、JARD保証認定を受け直す必要がある。誤って運用すると違法になるため注意が必要である。
ここでは拡張周波数改造方法を記してきたが、改造に自信のない方は閲覧のみとして、メーカーに改造をお願いする方が賢明である。
※ 当ウェブサイトは、改造に伴い発生したいかなるトラブルや損失、および損害等の諸問題に関しては、一切の責任を負いかねますので、あらかじめご承知おき願いたい。
それでは、充実したハムライフをお過ごし頂くとともに、電波に乗って いつかあなたとお空でお会いしましょう!