パソコンのシャットダウン時に 自動でごみ箱を空にする方法
パソコンを操作していると、ごみ箱のごみが知らない間にどんどんたまってしまう。ごみ箱をマウスで3回程突けば空にできるが、パソコンで作業をしていると、マウスをクリックすることさえわずらわしくなり、できる限り現在の作業に集中したいものである。Windows では、ストレージセンサーを構成すると、一時ファイルやごみ箱の内容など、一定期間が過ぎた不要なファイルを自動的に削除して、ディスクの空き容量を増やすことができる。しかし、それでもごみがたまるのが気になり、思わずごみ箱を突いてしまう。
このページでは、ごみ箱を空にして新たに作業ができるように、パソコンのシャットダウン時に自動でごみ箱を空にする方法を、以下の目次に沿って記すことにする。なお、Windows 11の画像を用いながら記すが、画像に若干の違いはあるもののWindows 10でも同様の手順で作成できる。
------[ 目 次 ]------
※パソコンの起動時に自動でごみ箱を空にする方法は以下を参照。
バッチファイルとは、Windows の環境下で動作するファイルで、複数のコマンドを並べて記述し、処理したいプログラムをあらかじめ作成する。その作成したファイルを自動的に一括処理させることをバッチ処理といい、そのコマンドを並べて記述したものをバッチファイルという。しかし、PowerShell 程の複雑なプログラムを記述することはできない。また、バッチファイルの拡張子は、そのまま batch file の [.bat] を使用する。
▶ 手順 1
バッチファイルを簡単に作成するには、コンテキストメニューからテキストドキュメントを開く。
❶デスクトップ上でマウスを右クリックする。
❷[その他のオプションを確認] をクリックする。
❸[テキストドキュメント] をクリックする。
▶ 手順 2
デスクトップ上に生成された新しいテキストドキュメントを開き、以下枠内のコマンドなどを記入する。3行目のコマンドやオプションは長いため、以下の「クリップボードにコピー」ボタンを利用する。
1行目 | @ECHO OFF |
2行目 | rem シャットダウン時に、自動でごみ箱を空にする |
3行目 | cmd.exe /c "echo Y|PowerShell.exe -NoProfile -Command Clear-RecycleBin" |
4行目 | shutdown /s /f /t 0 |
※参考、コマンドなどの処理内容を記す。
⑴ 1行目 : バッチファイル実行時に、記述した内容を表示させない。
⑵ 2行目 : rem を記述した行は、コメントを記述する。
⑶ 3行目 : コマンドプロンプトを起動し、 PowerShell でごみ箱を空にする。
★ 入力する場合の参考
半角スペースを示す | |
パイプライン(縦線)を示す |
★ コマンドのオプションおよび引数などの内容
/c | コマンドプロンプト起動後に PowerShell を実行する |
echo Y | よろしいですか(Y/N)? 処理の「Y」を意味する |
| | コマンドプロンプトから PowerShell へ処理を渡す |
-NoProfile | PowerShell プロファイルを読み込まない |
-Command | Clear-RecycleBin(ごみ箱を空にする)を実行する |
★ ここで設定した処理は、すべてのドライブのごみを一気に削除する。なお、削除するドライブを指定する場合は、PowerShell の最後に半角スペースを空けて [C:\] のように削除したいドライブレターを指定する。
例、/c "echo Y|PowerShell.exe -NoProfile -Command Clear-RecycleBin C:\"
⑷ 4行目 : シャットダウンを実行する。
★ shutdown のオプションおよび引数の内容
-s | パソコンをシャットダウンする |
-f | 実行中のアプリケーションを警告なしで閉じる |
-t ? | シャットダウンのタイムアウトを ? 秒に設定する。(既定値は 30) |
以下の画像は、実際に記入したものである。
▶ 手順 3
テキストドキュメントの記入が終わったら保存する。
❶ 上部メニューバーの [ファイル] をクリックする。
❷ 表示されたメニュー内の [保存] をクリックして保存する。
▶ 手順 4
保存したテキストファイルを任意の名前でリネームし、拡張子は [.bat] とする。
・ ここでは、以下画像のように [RecycleBin.bat] とリネームした。するとテキストファイルのアイコンから、バッチファイルのアイコンへと変化する。
▶ 手順 5
バッチファイルが完成したら作動確認のため、ごみ箱にごみを入れて実際に起動してみる。
・ 作成したバッチファイルを実行すると、以下画像のコマンドプロンプト画面がポップアップして「ごみ箱を空にしています」と確認表示があり、すべてのごみが削除され、パソコンがシャットダウンする。
・ もしも、うまく作動しない場合は、バッチファイルの内容を見直す必要がある。
作成した「パソコンのシャットダウン時に自動でごみ箱を空にする」の課題は満たしているが、バッチファイルだけでは何かと不都合が生じるため、ショートカットを作成する。
⑴ ここでは、作成したバッチファイルをデスクトップに置き、ショートカットを作成している。また、バッチファイルを任意のフォルダー内に置く場合は、そのフォルダー内で以下を操作する必要がある。
❶作成したバッチファイルのアイコンを右クリックする。
❷コンテキストメニューが表示されたら、[その他のオプションを確認] をクリックする。
❸ メニュー内の [ショートカットの作成] をクリックする。
※参考、バッチファイルを任意のフォルダー内に置き、デスクトップにショートカットを作成したい場合は、[送る] から [デスクトップ(ショートカットを作成)] をクリックする。
⑵ 以下の右画像は、デスクトップ上にショートカットを作成したものである。
バッチファイルのアイコンは、いくつ作成しても同じ歯車の画像をしているため、タスクバーにピン留めした場合など、何のファイルなのか判別がつかない。そこで、前記で作成したショートカットのアイコンを変更して、簡単に見分けられるようにする。
▶ 手順 1
自作アイコンがある場合は、そのアイコンを使用すればいいが、ここでは Windows の標準アイコン一覧に、一目で判別できるスイッチ用のアイコンが用意されているため、そのスイッチアイコンを拝借することにする。
❶ 作成したシュートカットを右クリックし、コンテキストメニューを表示する。
❷ コンテキストメニュー内の [プロパティ] をクリックする。
▶ 手順 2
ショートカットのプロパティが表示されるため、[アイコンの変更] をクリックする。
※ユーザー名はぼかしを入れてある(以下同様)。
▶ 手順 3
「~利用できるアイコンがありません。」などと警告ダイアログが表示されるが、かまわず [OK] をクリックする。
▶ 手順 4
Windows ライブラリ内のアイコン一覧が表示されるため、アイコンを探す。
❶ 以下の画像を参考に、[スイッチアイコン] をクリックして選択する、
❷ 選択できたら [OK] をクリックする。
▶ 手順 5
画面はプロパティのダイアログに戻り、左上部に選択したスイッチアイコンが見て取れる。
・ 最後に [OK] をクリックして、アイコンの変更を終了する。
▶ 手順 6
以下画像のようにアイコンの変更ができた。これで複数のバッチファイルを作成しても一目で分かるようになった。
ここまで、バッチファイルを作成し、そのファイルのショートカットを作成した。ショートカットをダブルクリックするとバッチファイルは起動する。
しかし、ここまで作成したからには、マウスのクリック方法を変更することなく、シングルクリックで起動したい。そのためには、タスクバーにピン留めする方法がある。
▶ 手順 1
バッチファイルなどの自作ファイルは、そのままではタスクバーにピン留めができないため一工夫が必要である。その方法を以下に記す。
・ アプリの場合は、コンテキストメニューに [タスクバーにピン留めする] が表示されるが、自作ファイルは表示処理を施していないために表示されない。
❶ 作成したショートカットを右クリックし、コンテキストメニューを表示する。
❷ コンテキストメニュー内の [プロパティ] をクリックする。
▶ 手順 2
以下の画像は、ショートカットのプロパティが表示されたもので、バッチファイルのリンクテキストが見て取れる。
▶ 手順 3
以下画像のように、バッチファイルのリンクテキストの前に、コマンドプロンプトの実行ファイル [cmd.exe] をリンク先 URL とともに書き加える。
なお、コマンドプロンプト起動後にバッチファイルを起動させるように [/c] オプションを付ける。
❶ 以下の赤文字部分を追加し、オプションの前後は半角スペースを開ける。
C:\Windows\System32\cmd.exe /c "C:\Users\ユーザー名\Desktop\RecycleBin.bat"
❷ [OK] をクリックする。
▶ 手順 4
前記(3)でショートカットのリンク先に書き加えをしたため、ショートカットのコンテキストメニューに、「タスクバーにピン留めする」が表示されるようになった。
❶再度ショートカットを右クリックする。
❷コンテキストメニュー内の [その他のオプションを確認] をクリックする。
❸ さらに表示されたメニュー内の [タスクバーにピン留めする] をクリックする。
▶ 手順 5
以下の画像は、作成したバッチファイルのショートカットを、タスクバーにピン留めしたもので、シングルクリックでごみ箱を空にして、シャットダウンできる。
▶ 手順 6
タスクバーのスイッチアイコンをクリックすると、ごみ箱にごみがたまっている場合は、PowerShell が起動して Clear-RecycleBin が実行され、以下画像の「ごみ箱を空にしています(すべてのドライブ)」と、確認ダイアログが表示される。ごみ箱が空になると、shutdown.exe が起動してシャットダウンが始まる。
これで、次回パソコンを起動すると、ごみ箱はすっきりしてパソコンの作業に集中できるだろう。