HDSDRのオプション設定項目に限定して内容の確認をする
HDSDR(High Definition Software Defined Radio)を日本では、ソフトウエアラジオまたはソフトウエア無線などと呼ばれ、広帯域受信を可能にしたWindowsで作動するフリーウェアソフトである。チューナーは、デコーダーチップに、RTL2832UのICが搭載されているUSB Dongle(ドングル)を使用するが、受信周波数はおおむね24MHzから1700MHzで、LF・MF・HF帯を受信するには周波数をコンバートすることで可能になる。また、HDSDRの受信周波数とトランシーバの周波数を同期させるフリーウェアソフト[Omni-Rig]を使用すると、送受信が簡単に行えるようになる。
ここではHDSDRの設定項目、[オプションの設定に限定]して、分かっている範囲内で画像を交えながら、設定項目の内容を確認していくことにする。また、HDSDRの導入方法については、このサイトで紹介した ➡「ソフトウエアラジオ HDSDR」が参考になるだろう。
※ ここで説明した内容および使用した画像は、[HDSDR Vre:2.76a]である。
HDSDRのオプションの設定は、設定フォーム内の[Options[F7]]をクリックする、または[ファンクション7キー]を押す。
使用する入力デバイスを選択する。
スペクトル デザインおよびウォーターフォール デザインの変更を設定する。
RF スペクトル デザインおよびウォーターフォール デザインの変更を設定する。
RFスペクトル デザインのタイプを選択する。
RF ウォーターフォール表示の経過時間表示の有無および表示位置を選択する。
AFスペクトル デザインおよびウォーターフォール デザインの変更を設定する。
AFスペクトル デザインのタイプを選択する。
AF ウォーターフォールの経過時間表示の有無および表示位置を選択する。
高速フーリエ変換したFFTウィンドウ処理デザインのタイプを選択する。
スペクトル デザイン配色およびウォーターフォール デザイン配色を選択する。
スペクトル デザイン配色およびウォーターフォール デザイン配色をカスタマイズする。
スペクトルに色を付けて塗りつぶす。
スペクトルおよびウォーターフォールをマウスでポイントした位置の周波数等の情報を表示する。
上部スペクトル枠および上部ウォーターフォール枠を表示する。
下部スペクトル枠および下部ウォーターフォール枠を表示する。
上部のスペクトル枠およびウォーターフォール枠のみ表示する。(エスケープで戻る)
スペクトル枠およびウォーターフォール枠を反転する。
上部のスペクトル枠およびウォーターフォール枠と下部の拡大枠を反転する。
リモートデスクトップ( Remote Desktop Protocol)用に最適化されたウォーターフォールを表示する。
受信用入力チャンネルモードを選択する。
受信用出力チャンネルモードを選択する。
RFフロントエンドを設定する。
[SDR hardware coupling]
SDR用ハードウエアの接続を設定する。
○SDR hardware connected to antenna (default)
アンテナを使用する場合にチェックを入れる。
○SDR on IF output,which is controlled
アンテナを使用せずソフトに任せる場合にチェックを入れ、セレクトメニューから使用するソフトを選択する。
[Sync Mode]
同期モードを選択する。
○Full sync in both directions
双方向に完全同期する。
○Independent Tune in HDSDR
HDSDRに独立同調する。
○Independent Tune, but sync on extemal change
独立同調で、外部変化に同期する。
○Full sync, except LO
LO 以外は完全同期する。
[IF-frequency:]
コンバータ等を使用する場合、その周波数をフォーム内に入力する。
※ 実際には、コンバータ周波数およびRigのIF周波数を合算し、Global Offsetを設定した場合は、さらにその周波数を±する必要がある。
例、コンバータ周波数100MHz+IF周波数8.83MHz+Global Offset9800Hz=入力周波数108839800Hzその他微調整が必要である。
[Global Offset:]
LO周波数とTune周波数が同等の場合、スペクトルの中心にディップ点が生じるため、そのディップ点を左右にシフトするために必要な周波数をフォーム内に入力する。
[Additional Offset per Mode in Hz]
モードごとのオフセットを該当するモード欄に追加入力する。(単位は、Hz)
□Mirror RF Spectrum in general
一般的なミラーRFスペクトルで、RX入力のためのスワップIチャンネルおよびQチャンネルと同様効果を持たせる。
□Mirror RF Spectrum for Tune
低IFを使用する一部のリグのためのもので、I/QはIFの上下逆になる。使用する場合は、フォーム内にIF周波数を入力する。
□operate CW in lower sideband (LSB)
LSBでCWを動作させる。
□Swap CW and CWR for Omni-Rig
Omni-RigのCWとCW-Rを入れ替える。
○SDR hardware on Down/Up-Converter LO Frequency of Down/Up-Converter in Hz:
ダウン&アップコンバータを使用した場合はチェックを入れ、その周波数をフォーム内に入力する。(単位は、Hz)
○SDR hardware in undersampling mode Samplerate of Analog-Digital Converter in Hz:
A/Dコンバータ(ADC)を使用した場合は、チェックを入れ、その周波数をフォーム内に入力する。(単位は、Hz)
周波数を校正する。
[LO Frequency calibration]
LO周波数を校正する。
※ 参考、既知周波数の放送局およびビーコンなどを基準に校正する。
Current Tune Frequency [Hz]
現在同調している周波数表示が表示される。
Correct Tune Frequency [Hz]
正確な周波数を、Correct Tune Frequencyのフォーム内に入力し、Calculateをクリックする。
Frequency correction [ppm]
補正周波数が表示される。
Last Calibration
校正周波数の結果が表示される。
※ 例、JARLビーコン局 JA2IGY 50.01MHz A1A (三重県伊勢市朝熊山) を受信し、校正した結果表示。
20170313_021341Z with ExtIO_RTL2832.dll Tune:50,010,000Hz |
Reset Calibration
校正周波数を元に戻す。
[S-Meter Calibration]
既知の新しいSメーターの信号強度を入力して校正する。
Current Level [dBm]
現在のレベルが表示される。
Correct Level [dBm]
正確なレベルをフォーム内に入力、またはSメーターのdBメモリをクリックし、Calculateボタンを押す。
Correction Value [dBm]
修正値が表示される。
Last Calibration
校正周波数の結果が表示される。
※ 例、JARLビーコン局 50.01MHz A1AをHDSDRおよびリグの両方で受信し、信号強度をリグに合わせて校正した結果表示。
Time: 20170313_025147Z Input: ExtIO_RTL2832.dll LO: 50,010,000Hz RF-Gain: +37.2dB IF-Gain: +0.0dB |
Smoothing for / Each mode
Sメーターの動きを好みに応じてモードごとに設定する。
[DC Removal Calibration for RX]
LO(局部発振)のセンタースパイクを除去する。
Mode
[ IIR-Highpass(Auto) ]➡[ Constant(on) ]➡[ Off ]ボタンをクリックするごとに順番が入れ替わる。
Bandwidth[Hz]、Left/right Channel
バンド幅およびチャンネルは必要があればフォーム内に入力する。
Reset Calibration
初期値に戻す。
[Input Channel Calibration for RX]
I/Q信号のバランスを校正する。
受信周波数付近にイメージ信号が現れる場合は、[Phase]スライダーバーと[Amplitude]スライダーバーを動かし最小限に抑える。[Fine]は細かく[Raw]は大まかに作動する。
[1 to 4 Samples delay]は、主に古いクリエイティブなサウンドカードで使用する。使用する場合は、[Left Delay]および[right Delay]のセレクトメニューから[1から4]を選択して、スライダーバーを動かす。
Reset Calibration
設定をデフォルトに戻す。
設定が終わったら[OK]をクリックし決定する。
リアルタイム録音および予約録音設定のダイアログで、RF/AF両方の信号の録音および再生が可能である。
※ 参考、録音ファイルの保存先は設定できるが、デフォルトでは、[C:\Users¥Users name¥Documents¥HDSDR¥HDSDR_20170305_020351Z_7001kHz_RF.wav]にWAVで保存される。
この項目は使用したい[Signal]を有効にすれば、デフォルトで十分使用できるため、詳細については割愛する。
その他のオプション
Autostart
チェックを入れると、Startボタンをクリックしなくても起動後に自動受信できる。
set LO <-> Tune Offset
クリックして表示される小窓フォームに、LOとTune のオフセット周波数を入力する。
Tune fixed to 'LO <-> Tune Offset'
チェックを入れると、set LO <-> Tune Offset で入力したオフセット周波数にセットされる。
Lock Gain (AGC#off only)
チェックを入れると、設定メニューのゲイン自動修正スライダーバーが手動に代わる。
Mute audio on inactive
チェックを入れて、HDSDRの表示外のディスプレイ上でマウスをクリックすると音声を無効にする。また、HDSDRの表示上でマウスをクリックすると音声が復帰する。
Show Time in UTC
チェックを入れると、時刻をUTCで表示する。(日時表示部上でクリックしても、JST/UTC が切り替えられる)
Normal Process Priority (default)
チェックを入れると、HDSDRを他のソフトと同様処理をする。
High Process Priority
チェックを入れると、HDSDRを他のソフトより優先処理をする。
Show Status
現在の状態を確認するためのメニュー小窓を表示する。
Export HDSDR settings
設定したHDSDRをレジストリファイルにエクスポートする。
クリックすると、「すべてのHDSDRプログラム設定をエクスポートしますか。現在のプロファイルをファイルに保存しますか?」と確認の小窓が表示されるため[Yes]をクリックする。さらにエクスポートしたルートの小窓が表示されるため、[OK]をクリックする。
※ エクスポート場所は、[C:\Users¥Users name¥Documents¥HDSDR¥???]に設定されているようだが、筆者は現在のところ[.regファイル]が確認できていないため、確認でき次第記す。
Reset to factory Settings
HDSDRの設定を初期化する。
※ 項目をクリックすると、「録音、録音スケジューラと周波数ファイルは削除されないが、他の全てのHDSDR設定は失われる。」との警告が出る。初期化する場合は[Yes]をクリックする。
マウスの操作を設定する。
Direction: Default
マウスホイールを手前に回すと周波数が上がる。
Direction: Inverted
マウスホイールを手前に回すと周波数が下がる。
Mode: Tune
Tuneのみの周波数が動く。
Mode: LO
LOおよびTuneの両方の周波数が動く。
Step (Menu)
マウスホイール回転に伴う周波数ステップ幅を選択する。
[DDE(Dynamic Data Exchange)]とは、Windowsでサポートされているアプリケーション間の通信プロトコルであり、ソフトウエア間で通信手順を定めたもので、他のアプリケーションにコマンドを発行し、特定処理の依頼やデータ結果を受け取る。
前記、RF Front-End Configuration> SDR hardware coupling> [SDR on IF output,which is controlled]の[by HRD(DDE)]をセットし、HRDと同期を取る場合は、この設定を併せて行う必要がある。
Omni-Rig(オムニ リグ)を設定するには、COMコンポーネントの組み込みが必要になるため、このサイトの[Omni-Rig のインストール]を参照すること。
Omni-Rig(オムニ リグ)の同期の方法を設定する。
Omni-Rig Setup
Omni-Rigと同期させるリグの設定項目をプルダウンメニューから選択する。
※ 参考、上画像のリグ1は、ICOM IC-706を同期させるために、各項目を設定したものである。
sync Rig1
Omni-Rigにリグのセットアップが終わると、セットアップした順番に同期させるリグが表示されるため、運用する表示にチェックを入れる。
sync to Omni-Rig
Omni-Rigを同期させる。
sync from Omni-Rig
Omni-Rigからの同期を受ける。
sync Tune frequency
Tuneと同調させる。
sync LO frequency
LOと同調させる。
sync Modulation
復調モードを同期させる。
set Converter Offset
コンバータのオフセットを設定する。
Swap CW and CW-R
CWとCW-Rを入れ替える。
HDSDRをシリアル経由で、CATインターファイス制御する場合にセットする。
HDSDRの送信設定や外部PTT SWを付ける場合などに使用する。ここでは詳細については割愛する。
SDR TX Support
送信に使用するソフトを有効にする。
これらの項目をクリックすると、下画像[Warning]の小窓に「あなたのライセンスに従ってください・・・」との警告が出るが、[Yes]を選択すると同時に[TXボタン](PTT SW)が有効になる。
mute RX audio on TXチェックを入れると、送信時に音声をミュートする。
「HDSDRを使用してみたいが英語版のため難しい。」という声が多かったため、HDSDRのオプション設定項目の内容に限定して分かる範囲で記したが、詳細な使用方法については各々項目を試してみて各自に合った設定を決定するべきであろう。
使いながらいろいろと試しているとすぐに要領が分かってくる。また、正規マニュアルはないため、詳細については英語表記だが、➡ ここが参考になるだろう。