HDSDR Ver:2.76aソフトウェアラジオの導入方法

HDSDR Ver:2.76a

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HDSDR(High Definition Software Defined Radio)を日本では、ソフトウェアラジオまたはソフトウェア無線などと呼ばれ、Alberto di Bene (I2PHD) OM によって作成された WinradHD の最新バージョンで、広帯域受信を可能にした Windowsで作動するフリーウェアソフトである。必要不可欠なチューナーは、低価格の地上デジタル放送受信用DVB-T[TVワンセグチューナー] USB Dongle[USBドングル]を使用する。また、周波数をコンバートすることでLF・MF・HFの受信も可能になる。なお、受信周波数帯に必要なアンテナの接続は必須である。

ここでは、HDSDRの導入に必要なソフトを、1つずつダウンロードしながら進めていく。今回インストールしたHDSDRのバージョンは、Version 2.76aである。

参考

インストール後はどうでも良い方は ➡ ここにまとめてインストールできる、パッケージに収めたものがある。パッケージ名は、[ExtIO_USRP+FCD+RTL2832U+BorIP-BETA_Setup.zip]

HDSDR 関連の記事。

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HDSDR Ver:2.70 ショートカットキー 日本語
HDSDR に Omni-Rig をセットアップする方法
Omni-Rig のダウンロードおよびセットアップ方法

1、HDSDRの導入で必要なもの

ソフトウェア関連
●HDSDR(ソフトウエア本体)
●ExtIO_RTL2832.dll(USBドングル用アクセスモジュール)
●zadig.exe(USBドングル用ドライバのインストーラ)
●Visual C++ Runtime 2008 SP1(ランタイム・コンポーネント)

USBドングルチューナー
●チューナーチップに[Elonics E4000]、[Rafael Micro R820T,R828D]、[Fitipower FC0012,FC0013]、[FCI FC2580]のICが搭載されており、デコーダーチップに[RTL2832U]ICが搭載されているものを使用する。入手するには、[RTL2832U+R820T2]で検索する。(ドングルの詳細は ➡ ここを参照)

アンテナ
●受信周波数帯用のアンテナが必要である。ロケーションに恵まれていれば、簡単な自作のループアンテナなどで受信可能である。また、アマチュア無線家は運用中のアンテナを利用する。

コンバーター
●HF帯以下を受信するには、周波数コンバーターが必要になる。自作も有りだが難問であり手間がかかる。入手するにはUSBドングルよりも高価だが ➡ [SC-HFCONV-100]は高性能である。

その他
●アンテナとUSBドングル間の50Ωまたは75Ωの同軸ケーブルが必要。
●コンピュータの外部ノイズが気になる場合は、USBドングルとコンピュータ間を離す必要があるため、USB延長ケーブルが必要。
●コンバーターを使用する場合は、コンバーターとUSBドングル間の同軸ケーブルおよびUSB電源ケーブルが必要。

2、ソフトウェアのインストールとHDSDRの構築

ランタイム コンポーネントのダウンロードとインストール
既に[Visual C++ Runtime 2008 SP1]がインストールされている場合は、❷へ進む。
●32bit版は ➡ ここから、64bit版は ➡ ここからダウンロードしてインストールする。

HDSDRのダウンロードとインストール
●HDSDRの公式ウェブサイト ➡ High Definition Software Defined Radioからダウンロードし、ダウンロードした実行ファイル[HDSDR_install.exe]をクリックしてインストールする。インストールフォルダの場所は、パッケージではないため任意の場所で良い。

HDSDR Version 2.80 の正式リリース開始

2018年08月14日に、Version 2.80 が試用のためのベータ版が公開され、約1年半後の2020年03月19日に正式リリースされた。Version 2.80 は使い勝手が悪いという方のために、Version 2.76a をしばらくの間ここに置いていくことにする。必要な方はそうぞ!

このページで使用しているバージョン ➡ HDSDR Ver:2.76a

なお、Vre:2.80 にバージョンアップする場合は、同フォルダにかぶせてインストールしても受信のみなら問題なく作動する。しかし、Rig と同調を取る場合は、以前の [OmniRig] は使用できないため [OmniRig v2.1] を使用するが、設定に手間がかかるため VER:2.76a は削除して、Ver:2.80 を新規インストールした方が手間が省ける。

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●インストールが完了し、下の[HDSDRセットアップ]ダイアログが出たら、☑ボックスの✔を外して、[完了(F)]をクリックして終了する。

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USBドングル用アクセスモジュールのダウンロードとセッティング
●HDSDRの公式ウェブサイト上部の[Hardware]をクリックする。

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[Hardware]内で、下のフレーム枠内[RTLSDR (DVB-T/DAB with RTL2832) USB]の右側[DLL]をクリックして、アクセスモジュールを任意の場所にダウンロードする。

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●ダウンロードしたアクセスモジュール[ExtIO_RTL2832.dll]を、HDSDRをセットアップしたHDSDRのカレントフォルダに移動またはコピペする。

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USBドングル用ドライバインストーラのダウンロードとセッティング
●Zadigの公式ウェブサイト ➡ ここから、Windows 7以降は[Zadig 2.4(4.9 MB)]を、その他のバージョンは直下の[Other versions]からダウンロードする。

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●ダウンロードしたインストーラ実行ファイル[zadig_・・・.exe]はカレントフォルダ以外でも実行できるが、後で見失わないように、今回は[HDSDR]のカレントフォルダに移動またはコピペする。

インストーラ実行ファイル[zadig.exe]は随時更新される。

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3、USBドングルチューナーのインストール

USBドングルをUSBソケットに差し込む。
●USBソケットに差し込むと同時に、USBドングルのドライバがインストールされる場合があるが、そのままインストールする。

●次は、HDSDRフォルダ内にコピーしたUSBドングル用ドライバのインストーラ[zadig_・・・.exe]をクリックして立ち上げると、下画像のインストール用のダイアログが表示されるため、[Options]をクリックし、[List All Devices]をクリックする。

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ドライバを選択する。
[List All Devices]をクリックすると、デバイスドライバが表示されるため、USBドングルのドライバを選択する。なお、TV28Tv2DVB-T、EzTV666 RTL2832U、EzTV-668 RTL2832Uなどのドングルは、[Bulk-In,Interface(Interface 0)]と表示される場合がある。また、同名称のドングルでもロットによってドライバの表記が違ってくるため、不安な場合は、良くリサーチしてから選択する必要がある。

下の画像は、[RX DVB-T+DAB+FM R820T]のドングルで、[RTL2838UHIDIR]と表示されたドライバを選択したものである。

※ 間違って他のドライバをインストールしてしまうと、そのデバイスやコンピュータが作動不能になる恐れがあるため、細心の注意を払い選択する必要がある。

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ドライバをインストールする。
●再度ドライバを確認して、[Install Driver]をクリックする。2回目以降のインストールは[ReInstall Driver]に代わる。

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●インストールが終了するとダイアログが開くため、[Close]をクリックして終了する。

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ドライバを確認する。
●デバイスマネージャーで、インストールしたドライバが組み込まれていることを確認する。下の参考画像を見ると、USBドングルやコンピュータのシステムによって、デバイス名や組み込まれている場所がそれぞれ違うのが見て取れる。

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4、パソコンを再起動する

再起動しなくてもHDSDRは立ち上がることもあるが、再起動して、パソコンに新しいソフトが組み込まれたことを再確認させると、レジストリ内などを整理してくれるためプロバビリティーは良くなる。

5、HDSDRを起動して受信設定をする

アンテナを接続する。
●受信設定をする前に、受信アンテナをUSBドングルのソケットに差し込んでおく。

HDSDRを起動する。

●インストールした[HDSDR]フォルダ内の実行ファイル[42_hdsdr0-36画像]をクリックしてHDSDRを起動する。

サウンドデバイスを選択する。
●初期起動では、下の画像[Sound Card selection]のダイアログが開くため、使用するサウンドデバイスを選択し、[OK]をクリックする。もしも、ダイアログが表示されない場合、または2回目以降の場合は、F5キーを押す、または設定メニューの[Sound Card[F5]]をクリックすると表示される。

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< HDSDR表示画面 >

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受信を開始する。
●F2キーを押す、または設定メニューの[Start[F2]]をクリックすると受信が始まる。また、受信終了も同操作をする。

受信モードを設定する。
●設定メニュー上部のラジオボタンスイッチで、受信するモードをクリックして設定する。設定されるとボタンがグリーンに変わる。

モードの帯域幅を設定する。
●F6キーを押す、または設定メニューの[Bandwidth[F6]]をクリックすると、選択窓が表示されるためモードに必要な周波数帯域幅をクリックして選択する。最低値はHMzである。

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ゲイン調整をする。
●設定メニューの[ExtIO]をクリックすると、ダウンロードして組み込んだアクセスモジュールのダイアログが開き、USBデバイスが組み込まれているのが見て取れる。ゲイン調整は、[Tuner Gain]のバーを上下して調整する。とりあえず右下の[RTL AGC]のみに☑を入れ、[Tuner Gain]はマックスより少し手前の[40dBm]前後で止めておく。

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受信周波数を設定する。
●設定メニューの周波数表示文字の上段[LO]の文字上をクリックすると、周波数設定のダイアログが表示されるため、フォーム(下画像の赤枠)に受信したい周波数よりも少し下の周波数を入力する。入力したら[LO]のラジオボタンのチェックを確認し、単位フレームをクリックする。下の画像は、144.2MHz付近を受信したいため、144.1MHzに設定したものである。
また、コンバーターを取り付けた場合は、コンバート周波数をプラス、またはマイナスする。

[LO]は発信周波数を設定しており、発信周波数に受信周波数が近いと物理的現象でビート音が発生し、再現性に欠けてしまうため、受信周波数と離す必要がある。

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●設定メニューの周波数表示文字の下段[Tune]の文字上をクリックすると、[LO]と同じ周波数設定のダイアログが表示されるため、フォーム(下画像の赤枠)に受信周波数を入力し、[Tune]のラジオボタンのチェックを確認し、単位フレーム枠をクリックする。下の画像は、144.250MHzを受信したいため、144.250MHzに設定したものである。また、微調整は受信周波数スケールにマウスをポイントし、ポインターが移動表示に変わったら、クリック&ホールドして左右に移動する。

初期設定では、[Tune]での設定周波数は[LO]で設定した発信周波数より、おおむね1.2MHz上の周波数に設定できるが、下の周波数には設定できない。

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同調を取る。
受信周波数の同調の取り方は、多くの方法が設けられている。
●設定メニューの[Tune]の周波数文字上にマウスをポイントして左右クリック、またはホイールを回転する。
●ウォーターフォール、またはスペクトラムの中心にマウスをポイントして、クリックする。
●受信周波数バーをマウスでクリック&ホールドして、左右に移動する。(下の画像参照)
●HDSDR表示画面上でマウスホイールを回転する。なお、ホイールの回転に対する周波数移動範囲は、F7キーを押す、または[Options[F7]]から[Mouse Wheel][Step]で変更する。

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ボリュームおよびレベル調節の仕方。
●ボリュームとレベル調節は、設定メニューのVolumeバーとLevelバーを左右に移動する。

6、最後に

HDSDRのインストールから設定および受信までの基本的なことを記してきたが、記した内容は極一部であり、他にも多くの設定方法や使い方が設けられている。

使いながらいろいろと試しているとすぐに要領が分かってくる。また、正規マニュアルはないため、詳細については ➡ ここが参考になるだろう。


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